STARTO ENTERTAINMENT設立の経緯と意義

STARTO ENTERTAINMENTは、旧ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏による性加害問題が表面化したことを受け、2023年10月に新設された会社です。
というのも、旧ジャニーズ事務所は被害者への補償に専念するため、社名を「SMILE-UP.」に変更し、将来的には廃業する方針を打ち出しました。
これにより「SMILE-UP.」がマネジメント業務から撤退するため、所属するタレントが今後も活動できるための受け皿が必要になりました。
そこで、STARTO ENTERTAINMENTはその受け皿として、タレントのプロデュースやマネジメント業務を行うために設立したのです。
旧ジャニーズ事務所が抱えていた性加害問題から完全に切り離された形で、新たなスタートを切ることで、失墜した社会的な信頼を取り戻すことを目指しています。
旧ジャニーズ事務所の性加害問題について
旧ジャニーズ事務所における性加害問題は、故ジャニー喜多川氏が生前に長年にわたり所属タレントに対して行っていた性的虐待を指します。
この問題は、1999年に週刊文春が報じたことで表面化しました。当時、裁判にも発展し法的に性加害の事実が認定されたにも関わらず、当時の日本の主要メディアはこの問題をほとんど報じませんでした。
このことから、日本の芸能界における「公然の秘密」とも言われ、その発覚と対応は大きな社会問題となりました。
史上最高のエンターテイメントをつくる会社へ
福田淳さんが社長を務めるSTARTO ENTERTAINMENTは、タレントの新たな活躍の場を創ることや、次世代のスターの育成などを目的に設立されました。
日本のエンタメの価値や独自の文化を大切にしつつ、世界にも通用するコンテンツを提供するために新たな挑戦を始めています。
たとえば、DX化やグローバル展開、メタバース市場参入などにもチャレンジしたいと公式ホームページで宣言しています。
従来のサービスを展開しつつも、旧ジャニーズ事務所とは違った形での挑戦をし、史上最高のエンターテイメントをつくる会社として動き出しているのです。
STARTO社長就任後に行った福田淳の具体的な施策
福田淳さんは、STARTO ENTERTAINMENTの社長に就任してから様々な取り組みを行いました。会社の信頼回復やブランド再生など多くの課題を抱えながらも、福田淳さんは次々と改革に取り組んできたのです。
ここでは、その具体的な施策について紹介していきます。
タレントが自由に活躍できる状態作り
旧ジャニーズ事務所の性加害問題が表面化したことで、タレントにも大きな影響がありました。CMのクライアントが170社から一時80社にまで激減するなど、仕事にも支障が出る事態に陥りました。
さらに、NHKやテレビ東京はSTARTO ENTERTAINMENTとマネジメント契約を結ぶタレントの起用を停止するなど、タレントが自由に活躍できない状況になっていたのです。
そこで福田淳さんは、まずはタレントが自由に活躍できる状態づくりを公約に掲げ動き始めました。
そのために、契約タレント171人全員と福田淳さん本人が面談し、直接タレント本人の思いを聞いたそうです。
同時に社内の体制を整え、上場企業以上にガバナンスの効いた体制を構築していきました。
その結果、徐々にタレントが自由に活躍できる場が広がり、2024年10月にはタレント起用を停止していたNHKとテレビ東京が契約タレントの起用を解禁すると発表しました。
新規加入者の選考・評価のプロセスを透明化
福田淳さんは新規加入者の選考や評価のプロセスを透明化することを明言しています。
というのも、旧ジャニーズ事務所では故ジャニー喜多川氏など一部の人が、デビューさせるかどうか決定する権限を持っていたとされています。
これらも性加害問題の発生や発展につながった要因として問題視されていたため、ダンスや歌唱などの評価基準を明確にし、透明性を持たせることも大切なことだと位置づけたのでしょう。
また、新規加入者の子供たちが安心・安全に過ごせるように、研修施設の確保や防犯カメラの設置なども進めているようです。
内部通報制度による悪しき文化の一新
組織改革とコンプライアンス体制の整備の一つとして、内部通報制度を設置しました。
絶対的な権力を持つ故ジャニー喜多川氏が会社に君臨していた風通しの悪い企業から、悪しき文化を一新するためです。
少しでもおかしいと思ったら誰でも通報できるようにしたことで、風通しが良い透明性のある企業を目指しています。
なお今では、月に1〜2件の通報がよせられるようで、「会社に伝えたら改善してもらえそう」という期待の表れであることが分かります。